少子化で衰亡の一途をたどるこの国は?
11月24日フランスのゴンクール賞受賞作家のレイラ・スリマニさん(邦訳「ヌヌ」の作者)と、直木賞作家の桐野夏生さん(「アウト」他著書多数)の対談を聴いた。対談は21世紀の女性の現状をどう見るか、文学に何が出来るかを柱に行なわれた。
桐野さんの娘と1才違いだというスリマニさんは、アフリカ生まれで、アラブの春をジャーナリストとして生き、「ミーツー」もネットで普及したと言う。「アフリカでは1981年には女性の80%が非識字だったのに、今では大学にも文学にもコミット出来るようになった。ナイジェリア、コンゴ等非常に厳しい情勢の国でも、女性が映画を作れるようになった。これからのネット社会でも女性は躍進するだろう。」と見通しを語った。
桐野さんは「女性の地位が114位/150ヶ国の日本では、女性が低賃金の職に追いやられ、経済的、政治的、社会的にも圧倒的な弱者だから、『ミーツー』等でも大きな運動にはならなかったし、女性差別の伝統的な価値観も台頭して来ているので、日本の女性の地位の躍進は容易なことではない。」と語った。
桐野さんの言う貧困の格差の拡大は、日本の子育て世代を確実に脅かしていると思う。子育てのセーフティーネットの不足が、愛着障害の子ども達を増やし、虐待の温床になっている。子どもを安心して産める状況にない、子育てを経済的不安無しに行えない国は、女性たちに子どもを産もうという意欲をもたせない。この国は少子化で衰亡の一途をたどるばかりだ。